民法は、法定相続人として配偶者と血族を定めていますが、その規定を見るだけでは自分が相続できるのかどうか疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますので、ここではいくつか例を挙げて相続できるか否かをみていこうと思います。
Q 子どもがお腹にいるときに、父親が死亡してしまいました。お腹にいる子どもは父親の財産を相続できますか?
A できます。
本来民法は、人が生まれてから死ぬまでのあいだに限って財産上の権利・義務の帰属主体となることを認めています。しかし、相続については例外的に胎児にも権利能力は認められていますので、お腹にいる子どもも父親の財産を相続することができます。しかし、胎児は遺産分割協議に参加できませんので、特別代理人をたてる必要があります。
本来子どもの代理人は、親ですが、相続に関しては親が子どもの代理人になることは認められていませんので、このような場合は家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。あと、お腹にいる子どもが相続するためには、もちろん無事に生まれてくることが条件となります。
Q 内縁の妻(夫婦同然の暮らしをしているが婚姻届は出していない場合)は相続できますか?
A 原則できません。
民法が法定相続人と定めている配偶者とは、役所に婚姻届を提出している配偶者を指しています。だから一緒に暮らしていて、世間一般の夫婦と全く同じような関係であったとしても、婚姻届を提出していなければ相続人とは認められません。ただ例外的に内縁の妻も相続できるケースがふたつあります。
まず1つめは、被相続人が生前、内縁の妻に自分の財産を譲る旨の遺言を残していた場合です。この場合、内縁の妻も相続することができます。
しかし注意しなければいけないのは、被相続人がたとえ全財産を内縁の妻に残すという遺言をしていたとしても、その遺言が遺留分を侵害するときは、遺留分を侵害しない範囲内でしか、内縁の妻は相続することができないということです。
もう1つは、被相続人には身寄りがなく相続人がいないような場合、内縁の妻は特別縁故者として相続することが認められるケースです。
Q 被相続人には、妻との間に生まれた子ども(嫡出子と言います)と愛人との間に生まれた子ども(非嫡出子と言います)の両方がいます。愛人との間に生まれた子(非嫡出子)は父親の財産を相続することができるのでしょうか?
A 非嫡出子も父親の財産を相続することができます。但し、嫡出子とは取り分がことなります。
民法は、被相続人が妻以外の女性との間に生まれた子を認知している場合には、このような子(非嫡出子)にも、嫡出子と同様、相続権を認めています。しかし、まったく同じように相続権を認めているのではなく、非嫡出子に認められている取り分は、嫡出子に認められている相続分の半分です。
この民法の規定に関しては、非嫡出子に対する差別であり、憲法違反ではないかという訴訟が提起されたことがありましたが、最高裁は合憲であるという判断を下しました。しかし、社会の変化に伴いこの規定を見直すべきであるという声も高まっています。
Q 被相続人には、実子(血のつながりがある)と養子(血のつながりはないが、養子縁組をしていて、法律上子と認められている)がいます。養子は、実子と同じだけ取り分が認められるでしょうか?
A 養子も、実子と同じだけ取り分が認められています。
養子縁組を交わすと、養親と養子は法律上親子と認められ、相続において養子には実子と同様の取り分が認められます。また養子は、もともとの親(つまり血のつながりのある本当の親)の財産に関しても相続する権利が認められています。
ただし、特別養子である場合は、養親の財産しか相続することができません。